書評 @小路幸也さんの「テレビ探偵」は”ポップンロールステーション”

=小説家で詩人の滝川寛之による書評シリーズ=

書評 @小路幸也さんの「テレビ探偵」は”ポップンロールステーション”

 ”やられたっ!” これが私の第一声としてあった。そして、ちょうどあの頃のことを思い出す。そう、若かった少年時代のあのころのことを。昭和の名番組を、気持ちよく思い出すのだ。
「八時だよっ! 全員集合――!」
 いかりや長介がはっぱをかけたようにして舞台中央でそう号令をかけたとたんに流れるオープニング曲は、私たち少年探偵団をたまらなく笑顔にしてくれた。じゃんじゃんじゃんじゃんじゃじゃじゃーん♪ じゃっじゃかじゃじゃじゃじゃじゃん♪ それから最後に呟くのである。
「”次行ってみようっ――!”」
 この小説は五つの大カテゴリ(大プロット)で構成されており、それから十二人の主要キャラクターがおりなしてゆく一人称の群像劇(もしくは仮想的な回想録)である。文脈は、たとえて言うならば、FM沖縄の看板番組だった”ポップンロールステイション”といえばよいのか、そう話すると余計に分からなくなる可能性も否めないので「王道のエンターティメント小説」というとズバリである。私はこの小説を読んで、著者の文壇デビュー作も読んでみたくなった。それはつまりいうところの、本物の作家だと私が認めた証拠でもある。
 実はいうと、私は花村萬月さんつながりで小路幸也さんのツイッターを訪問したことがあって、アドレスは”https://twitter.com/shojiyukiya”なのだけれども、そこのコメントで失礼なことを発言したことがある。「私のところの土産物と北海道の土産物を物々交換しませんか?」たしかそのようなやりとりだったとおもう。やり取りというよりも相手にされなかったのだけれども。苦笑 それで、彼のブログ記事なんかも読んだことがあって、日記の書き方なんかについて勉強したことがある。小路幸也さんの文体は流暢で他人が真似できない個性的なセンスがあるものだから、本当に読みやすくてグッドなのだよね。それがこの小説にも色濃く表れていた。
 ”やられたっ!” というのは、私もこの類の小説を書く予定で居たので、それについて先を越されてしまったなと。消沈まではしていないものの、プロットの練り直しを図られそうではあるわけだ。
 余談になるかもしれないが、今回受け取った小路幸也さんの著書「テレビ探偵」との出会いに感謝したいとおもう。今年の年末25日頃に本屋へ並ぶということで、改めて校了後の作品を購入し読ませていただく思う。それ位に良作だった。エンターティメントは何ぞや?! それを原稿へ力強く叩きこんだような力作であった。
 小説とはいいものだね。世界を見るだけではなくて、色々なものを引き寄せてくれる物だから面白い。小説にもいろいろな表情がある。骨格がある。世界がある。貴方も私の書評をきっかけに読書をしてみませんか? きっとではなくて、ぜったいに楽しいはずだよ。まずは、小路幸也さんの「テレビ探偵」から始めてみようよ。ぜひに。

テレビ探偵
KADOKAWA
2018-12-25
小路 幸也

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